猛烈に暑い夏が過ぎ、ほっとするのもつかの間。こんどは強烈な台風が、次々に襲ってきた。秋が忍び寄る静かな雰囲気を味わおうときもない、荒れ果てた荒野のような秋。そんな思いをもたせるような今年の秋だ。
しかし秋は訪れている。例年より早く、出水市荒崎の田園には鶴がやってきた。台風には固まって身を縮めて、強い風を避けていたらしい。
その北西に広がる海は不知不海。冬の季節風を受けながら、ツルが大きく羽根を広げたように帆を張り横にゆっくりと進んでいく漁船群がある。
クルマエビよりも大きなクマエビ、シャコなどを捕るケタウタセ漁である。海底をおおきな重い金網のついた熊手のようなもので、砂をかいて中に獲物をとりこんでいく。見た目はゆったりとしているが、船の上にはいくつも入れている網籠を上げるために戦場のようだ。
捕れたクマエビは火で炙り、縄でつないで正月用の雑煮として年末の海産物屋の店先を飾る
2014年12月20日