田舎道を走っていると、よく目につくのが夫婦岩、陰陽石と書いた標識である。ときには珍しいものでも見てみようか、横道にそれて興味津々と立ち寄ることがある。
ものの形が少しでも似ていると、どうにかとこじつけてしまうものもある。こんなもの で想像して名付けて喜んでいるのか。笑う意外にない代物もある。
色とりどりの花に春風が心地よい日、農道を車で走っていると夫婦岩の標識が目に入った。いつもなら通り過ぎてしまうのが、やはり春なのだろうか横道に入った。
桜の花に囲まれた池のほとりの小高い地に、樹木の陰に見事な女性の形をした岩があった。
男性の石があったが、さびしそうなので見付けてきて安置したのだそうだ。安産のお礼の言葉を石にいたのが、いっぱい入った籠が積み上げてある。
不遜な気持ちで覗いたが、お産を間近に控えた妊婦は真剣にお祈りをしている。いやお恥ずかしい。
 |
