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星原昌一のかごしまぶらり歩き

第17回 徳之島の闘牛

鹿児島空港を南へ約一時間。徳之島に着く。
最近は女子マラソンの高橋尚子さんたちのトレーニング地としても知られ、前には世界最長寿の泉重千代さんの古里でもあった。
サトウキビ畑の道筋には、だれかが植えたのではないかと思うほどに、野百合が美しく咲いている。
年に四回開かれる島最高のイベント、闘牛大会はゴールデンウィークの間、島の五会場で開かれる。連日の開催だがどこも見物人で満員。
早朝から場所取りのために人はやってくる。闘牛に出場の牛の飼い主と、そのサポーターは角を磨いたり、元気をつけさせるために牛に栄養のあるものを食べさせる。
サポーターに囲まれた牛は、場内に入る前から闘志をみなぎらせ目は血走り睨めつけながら入ってくる。
勢子に鼻綱をとられた牛の前には、清めの塩がまかれる。見物人たちがいちように牛に目をやり、これからの戦いに思いを託す。
「ハイヤー」
勢子の掛け声、牛はドシンと地響きをたてガチンとぶつかり角が組み合う。じりじり、押したり引いたり。技術の限りをつくし、相手を圧倒しようとする。両雄あいゆずらず、勢子がけしかける。場内はシンとして見守る。
牛糞の匂いが混じった土を蹴立て、ようやく力勝ちした牛が圧し勝つ。負けた牛が逃げ出す。場内が沸き立つ。
「ワイド、ワイド」
サポーターは牛の背中に跨がり、両手を突き上げて、勝利を喜ぶ。南島の血潮が燃え立つときだ。

徳之島の闘牛