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星原昌一のかごしまぶらり歩き

第21回 批榔島 志布志湾

批榔島は志布志湾のほぼ中央に浮かび、周囲約4キロ、面積17.8ヘクタール、標高83メートルの南北に長い無人島である。全島が亜熱帯性植物群落に覆われて、原始の状態に保たれているとして昭和31年に国指定特別天然物に指定された。ビロウ樹の他に約80種の暖地性植物が繁茂している。
島までは約4キロあり、船で約15分ほど掛って行く。
樹齢が約3~400年と推定されるビロウ樹が一千本ともあると言われる。広葉樹が島を覆い、モクタチバナの巨木があり、アコウが木根を垂れている。数多くのかずらがその樹木にからみつき、下にはクワイズモやシダ類が濃緑の葉を茂らせている。
水が無く人が住めなかったために、原始林の状態が保たれているのだという。
天智天皇由来の乙姫伝説がある批榔神社は、急な階段を登った丘の上にある。
「宮中ではビロウは神の宿る聖樹とされ、神事の火を起こすときに使われたうちわはこの島で採られたビロウ葉の若芽で作られた」
平安時代からの貴族達が使った批榔毛(ビロウゲ)の車は、昭憲皇太后の入内に使われたのが最後である。

批榔島 志布志湾