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星原昌一のかごしまぶらり歩き

第23回 柿の湯治

北薩摩の奥にある紫尾神社。拝殿の下にある泉源から、温泉がこんこんとわきだす。神社の創建は神代までさかのぼり、西の高野山として繁栄したときの坊主墓の古蹟も残る。
数軒のひなびた温泉宿はシシ鍋などでも知られているが、秋になると古くから行われているのが「温泉湯で柿の渋抜き」。
秋も深まると色付いた柿を収穫した農家の人たちが、軽トラックに積んでぞくぞくとやってくる。
夕方。温泉の中へ袋にいれた渋柿を入れ、朝までゆったりと湯治させて置く。朝には柿の渋はすっかりと抜けて、甘い温泉の香りが少し残る柿に変身している。
やはりこの温泉で渋を抜かないとおいしくないと、近辺の人から遠くは熊本県からも運んでくる。
管理人が柿の担当をしているが、「柿のかおもみたくない」と嘆くほどに商売繁盛。毎日、毎日運ばれてくる。
もちろん店頭に並ぶが、柿の良さが評判ですぐに売れきれるそうだ。

柿の湯治