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星原昌一のかごしまぶらり歩き

第24回 十二人の冠女

薩摩半島の南端、西側に面する坊津町上之坊、中之坊、鳥越の三地区は毎年持ち回りで、海辺に立つ八坂神社のホゼを執り行なう。
昔から遣唐使、密貿易の基地など、話題豊かな町だが、かねてはしっとりとした歴史を語るリアス式海岸の奥に静まっている。
十月の第三土曜日の午後には、はなやぎを見せてくれる。緋(あか)の袴に白いかすりに笛をもった中学生の女の子、スリガネをかき鳴らす男の子。
行列は城の筒袖の赤面、黒面、獅子が出て、子供たちをおどかし、鉾や旗の後に十二支にちなんで十二人の冠女(かんめ)が、華やかな着物を着て、曲げ物のお賽銭入れを頭に乗せてしずしずと歩く。
当時の関白藤原前久の子、近衛信輔が秀吉の怒りに触れ坊津に流され、その時にもたらされた都の文化ともいわれる。それだけに雅やかさがあり。のどかな港町の坂道を行列は華麗に下って行く。

十二人の冠女