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星原昌一のかごしまぶらり歩き

第26回 鬼追い 曽於市末吉町深川

町の中心部から少し北に向う。右に折れると仁王像が立ち,熊野神社が正面にある。
仁王像は明治の始めにあった、廃仏希釈にによって土中に埋めて助かった歴史がある。
時代を逆上れば祭りの歴史は古い。ここでは約300年以上前から伝わっている行事とされている。この行事は、早朝の鬼火焚きから始まる。
鬼火焚きで使った竹が、鬼たちが走っては飲む焼酎の徳利になる。手足の先が凍りつくような寒さ。手打ちそばの振る舞いもあり、祭りの気分は最高に盛り上がる。
一月七日午後八時。厄年の二十五歳になる若者が御弊を持った鬼になり、「鬼つき」が二人、両側に護衛について神社の階段を駆け下ってくる。
「わっー」と観衆が声をあげる。跳び掛かってくる。家内安全五穀豊穣の祈願として、御弊をもらうのだ。そうはさせじと「鬼付き」は手に持った棒を振り回し、寄ってくる人を追い払う。
叩かれても文句は言えない。暗闇の中での鬼と観衆の戦いだ。男鬼、女鬼、子鬼と三匹の鬼が駆け出すから神社の前の道路は悲鳴と歓声が響く。

鬼追い 曽於市末吉町深川