鹿児島県内では七十社近くの神社で、二月、三月、四月にかけてことしの豊作を祈願する打ち植え祭りが行われる。人出が多い大きな祭りもあるが、ほとんどが小さなひっそりとしたかねてはお参りする人もいない神社が多い。
しかもここで祭りがあることは、その地域の限られた人だけが知っているだけの祭りである。かねて人影もない境内が華やかに飾り付けられ、人が朝から右往左往としてにぎやかさに満ちてくる。
焼酎の匂いが漂い、祭りの主役たちは赤い顔で出番を待っている。
境内を駆け回りこけながら、演じる農民劇は観衆から笑いをとり野次に応じる。はらはらとさせながらも、ことしの豊作を祈る。
祭りの終わりは籾や餅が投げられ、参加者は籾や餅を拾い楽しかった祭りの余韻をひきながら帰っていく。
2014年12月20日