標高1,117メートル、周囲52キロの桜島は南岳から噴煙を上げながらどっしりと青い錦江湾に優美な姿を据えている。
フェリーの着く袴腰港から約十五分、古里温泉があり、古里観光ホテルからは南向の海を見下ろす高台にある。その下の海岸に竜神露天風呂がある。
波が静かに打ち寄せる岩場に、活火山の地底からこんこんと湧きだす温泉。亜熱帯植物のアコウの大木が、根を複雑にからまらせ熔岩を抱いている。その根元に赤い鳥居がたち竜神世音菩薩が祭られ、周囲に弁財天、十六童子が鎭座している。
ゆっくりと岩風呂につかり、大隅半島、薩摩半島を眺め、遠くに薩摩富士と称される開聞岳がかすむ。朝の日の輝き、夕日に染まる大自然と対峙していると浩然の気を養い、浮世の憂さをも忘れ去らせてしまう。
