西郷は温泉が好きでよく県内の温泉を訪ね、狩をしたりしながら湯につかっている。中でも日当山温泉は山にウサギ狩りにでかけ、川にアユを追った。よく家族連れでも通っていたという。
明治2年2月に戊辰戦争を終えてから日当山温泉に来た。当時をよく知る古老の話しでは「十数回は来られた」というから、県内いたるところの温泉を、狩をしながら寄っているが、よほどこの湯が気に入ったのだろう。
四,五十日の滞在もあった。坊主頭になり、上野公園の銅像スタイルであったという。温泉に入るときにはお湯が流れるところにごろりと横たわり、ゆっくりと温泉を楽しんでいた。詩を作り、頼まれれば書を書いたりと、悠々自適の生活であった。
日当山に行くには鹿児島市から加治木まで船に乗りその後は歩いていたが、土地の人たちは道に額ずいて迎えたと義妹の岩山トクの回想「西郷さんを語る」(至言社)にある。また国分の町では芝居を上演し、桟敷を作り立派な弁当を出してもてなしたそうだ。
当時の宿は元の場所から、上に移転して、蛭子神社の前に藁ぶきの家が保存されている。また薩摩川内市の高城温泉は現在もひなびた昔の温泉の雰囲気を残し、温泉の入り口には温泉につかる西郷の像がありほほえましい。
日当山西郷さん湯治宿1 |
日当山西郷さん湯治宿2 |
日当山愛用の湯 |
日当山温泉西郷湯 |
高城温泉入口の西郷入湯像 |
高城温泉街 |
西郷さんが入ったお湯跡 |