鹿児島発情報サイト
文字サイズ

ようこそ「かごしま大人の書斎」へ! 鹿児島発信の情報サイト。 随筆・写真・生活情報など、情報満載です!!

星原昌一の西郷の足跡を歩く

第16回 洞窟で囲碁

西郷は城山の洞窟に篭もっていた時に、囲碁を楽しんでいたそうだ。そのような話はない、西郷は碁を打たなかった、碁は知らなかった。という説もあった。以前は洞窟の前の説明文には「西郷さんは洞窟の中で囲碁を打っていた」と書かれていたが、説明文は変更され「碁を打っていた」ことには一言も触れなくなっている。
家族も西郷さんが囲碁を楽しんでいた姿は見たことも無かったと語っているし、戦後、鹿児島市長を長く勤められた勝目清さんは、西郷さんは碁を「うっちゃいもはんじゃした」と言っていた。
ところが城山の洞窟に籠もっているときに、碁を打っている姿を描いた絵刷り物がある。洞窟内で碁を打っている西郷を中心にして、左後ろに銃をかつぎ行進をする兵士、手前にお湯を沸かしている福崎少年。この絵を見た生き残りの人々がうなずいたとされるように、リアルに当時の様子を描写してある。
「諸将の顔や服装、土間の畳。手前の鉄瓶を提げた速成の自在かぎ、手前の少年と現場を見たものでないと描けない構図である」(西郷南州研修館高柳毅館長)と書いている。
西郷さんは碁を打つ姿は見たことは無いと、身内の人たちは話しているが 水戸藩の重鎮藤田東湖宅を訪れたとき、東湖から「酒を飲むか、ばくちをやるか」と聞かれ、「酒は飲むがばくちはしない」と答えると「それじゃばくちを教えよう」と酒宴の半ばに碁盤を取り出し手ほどきをしたという。
村田新八と洞中で打っているのを見たとか、洞窟のそばに碁盤が転がっているのを見たとか言う話も伝わっている。(大西郷の逸話 西田実著)。謎は残った碁盤だけが知っている。

高城温泉碁盤
高城温泉碁盤