錦江湾の全貌が見渡せる鹿児島市吉野町の北側に位置する寺山展望台。よく晴れた日には櫻島を少し右に東北側に袋状に広がる湾奥は、遠く霧島連山が並び姶良カルデラの形状が見える。南側にははるか開聞岳が見える錦江湾は大河のごとく細く青く流れるように広がる。青く光る海の色、誰しもが息を呑む絶景だ。
寺山展望台への登り口への道筋に、開墾地まで百メートルの標識が立っている。細く湿っぽい竹やぶや枝を広げる雑木林を行くと、少し開けたところが見え階段があり、登りきったところに堂々とした自然石がずっしりと腰をすえ、大きく「南洲翁開墾地遺跡跡碑」と書いてあり脇に元帥伯爵東郷平八郎書とある。
遣韓論に破れ故郷に帰った西郷隆盛が開校した私学校と共に寺山に開墾地を拓き、八十数人の若者と農業をされた場所である。
このころ寺山から西郷さんはカライモを馬に背負わせて、吉野の道を下ってくる途中に、馬が畑に落ちてしまった。近くの人たちに助けられてようやく上がった。今でも「駄馬落(だばらく)」の名が市営バスの停留所になっている。
寺山開墾地跡 |
寺山公園から見た桜島 |