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第15回 春祭りのころ 農民の笑い

鹿児島県内の神社でことしの豊作を祈願する春の祭りが、二月から四月までに60数箇所で行われる。それぞれの地方、土地によって祭りの形は違うが木造りか、人が演じるか、いろいろな牛が出てそれを操るテチョ(亭主)、デカン(下男)などが即席のやりとりで観客を笑わす。

かねてひっそりとした小さな神社の境内も、この朝は祭りの準備で忙しい人達の声がにぎやかに聞こえてくる。過疎に人影が薄い農村が、華やぎを取り戻す時間である。

祭事が始まり神主の祝辞があがるころ、境内の近くには人垣ができてくる。神社によって様式は変わるが、テチョが出てデカンを呼び、牛が出てくるころが祭りは最高潮。

コシキを被った田の神が、観客をしゃもじで頭を撫でていく。健康に、豊作とことしの家内安全もかなうとあって、笑いの中に幸せを祈る。

農村に古くから伝わる祭りは、過疎にも負けずいつまでも続いて欲しいと願う。

春祭りのころ 農民の笑い